成年後見制度(せいねんこうけんせいど)についてご案内します。
認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方(ここでは「本人」といいます。)について、本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です。
判断能力が不十分になる前に➡任意後見制度
将来、判断能力が不十分となった場合に備えて、「誰に」「どのような支援をしてもらうか」をあらかじめ契約により決めておく「任意後見制度」が利用できます。
判断能力が不十分になってから➡法定後見制度
家庭裁判所によって、援助者として成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が選ばれる「法定後見制度」が利用できます。利用するためには、家庭裁判所に審判の申立てをします。
本人の判断能力に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3 つの制度を利用できます。
行政書士が行う成年後見業務の具体例としては主に以下のようなものが挙げられます。
・成年後見制度を利用するにあたっての必要書類の収集・作成
・任意後見契約書作成の相談にのること
・成年後見人に就任すること
行政書士は、成年後見を考えている依頼者の方の相談にのることはもちろん、自身が、成年後見人になることも可能です。
次に、行政書士を含め、成年後見人となった場合の具体的な仕事について紹介します。
後見人となった場合にする仕事としては、主に以下のようなものが挙げられます。
☑ 収入と支出の管理
☑ 不動産や預貯金等の財産管理
☑ 金融機関との取引き
☑ 相続に関する手続き
☑ 保険契約の締結、変更、解除および保険金の受領
☑ 通帳、印鑑、各種カード等の保管
☑ 住居に関する契約の締結および費用の支払い
☑ 医療契約の締結および費用の支払い
☑ 介護契約その他福祉サービスの契約締結および費用の支払い
☑ 施設の契約の締結および費用の支払い。
行政書士が成年後見人となった場合には、街の身近な法律家であり、権利義務・事実証明に関する書類作成の専門家として、被後見人の心に寄り添い、細かい部分まで対応していくことができるとともに、成年後見業務に付随した遺言書の作成等相続業務にも対応していくことで、被後見人の生活のトータルサポートをしていくことができます。
少子高齢社会を迎えている日本において専門的な知識を持った行政書士が後見人として選任される需要はますます高まり、様々な事情を抱える依頼者の力になることができるのではないでしょうか。
また、知的障害者や精神障害者、認知症高齢者等社会的弱者を保護する成年後見制度へ積極的に携わることで、福祉国家社会に貢献していくことができます。
成年後見制度は、社会的弱者を保護する制度として大切な制度です。
行政書士は、成年後見制度に関する相談にのり、アドバイスを行うとともに、成年後見人として被後見人の生活のサポートをすることもできます。
平成25年の司法統計では、後見、補佐、補助の申立ては4万件を超えており、年々増加傾向にあります。
そのことからもわかるように、これからさらに成年後見業務の需要は増えていくと思われます。
行政書士の成年後見業務は、重要な業務のひとつです。